管理人はだれ！？

2015年5月23日「土曜日」更新の日記

住宅が売れなくなっている最大の要因が、価格にあるのはいうまでもない。なかでも、ひときわ目立つのが一戸建ての高さ。世界の主要都市のなかでも、東京はロンドンに次いで高くなっている。東京の調査対象は杉並区成田東で、床面積150ｍの住宅が1億800万円と、1億円を超えている。これに対して、ロンドンは1億5141万円だが、パリの7342万円、ニューヨークの5681万円を大きく上回っている。大阪も5200万円でニューヨークとほとんど変わらない水準だ。もちろん、東京23区のなかでも比較的住宅地としての評価が高い杉並区だからという面があるにしても、この高さは異常。これではとても手が届かないため、最近は敷地面積を削り、床面積も100ｍ前後の一戸建てが中心になっているが、それでも杉並区の立地に恵まれた場所なら7000万円、8000万円の価格がつき、資産的背景のない平均的な会社員にとっては高嶺の花であるのが現実だ。なぜそれでも、こうした高額物件が分譲されるのか。その背景には、わが国の一戸建て指向の強さがある。国土交通省では毎年「土地問題に関する国民の意識調査」を行っているが、その2010年発表の結果をみても、望ましい住宅形態では、「一戸建て」が77.0％に達し、「マンション」は11.2％にとどまっている。大多数の人は、多少高くても何とか一戸建てを手に入れたいとている。不動産業界もそう思い込んでいるから、世界的にみても高額な物件を平気で出してくる。それもある意味では仕方のない面がある。お客である消費者の間にも、住宅は高いもの、なかでも一戸建ては高くても当たり前という受け止め方が根付いている。だからこそ、高い一戸建ての供給が続き、簡単には売れない時代とはいえ、それなりに客が付いているのだろ消費者がそう感じる背景には、土地を持っているものが強いという土地信仰が根強い点、居住形態としてのマンションの歴史が欧米などに比べると浅い点、地震大国ニッポンでは、万一の場合も一戸建てなら自分一人の判断、力で対応できる点－などが挙げられる。なかでも、土地信仰の影響力は大きい。実際、中古住宅市場における値付けをみても、マンションは建築後の経過年数が長くなるにつれて評価額は下がり続けるが、一戸建ての場合には20年ほどが経過すると、評価額の低下はストップする。

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