管理人はだれ！？

2015年5月27日「水曜日」更新の日記

かつての高度成長時代、団塊の世代を中心とする企業戦士たちは、家族のために遮二無二働き、30代、40代の住宅適齢期になると思い切ってマイホームを購入した。住宅ローンで生活が厳しくなると分かっていても、生活費や小遣いを削ってでも買ったものだった。持家を取得することが社会人として一人前になったことを意味し、それだけ社会的な評価が高まり、事業を起こす際にも資産的背景がある点で有利になるなどの条件が揃っていた。だからこそ、結婚当初は賃貸住宅住まいでも、やがては手頃なマンションを手に入れ、いずれは庭付きの一戸建てを買ってアガリという"住宅双六"がもてはやされた。マイホーム、なかんずく郊外の庭付き一戸建ては、当時の企業戦士たちにとっての憧れの存在足り得たわけだ。マイホームは、会社員、社会人としての成功の証であり、それはさまざまな苦労をしてでも手に入れる価値のあるものだった。マイホーム購入を目指して頑張る姿は、生活費を切り詰めるなど、実生活では多少みじめな部分があっても、社会全体としてはそうした努力を尊いもの、かっこいいものとみる風潮があった。しかし、そんな親を目のあたりにしてきた次の世代はどうかといえば、クールのひとことにつきる。苦労してマイホームを手に入れても、そこでの生活が豊かなものにならなければ意味がないのではないか。そんな苦しい、あるいは惨めな思いをするより、もっと違った生き方があるのではないか、そう考えるようになっているように思えてならない。そんなところで無理してもつまらない。もっとラクな生き方があるのではないか、そう考える人たちが増えているのではないだろうか。その背景には、住宅価格が世界でも飛び抜けて高いなか、苦労して入手する物件にそれだけの価値があるのかという疑問が高まっているという問題があるのではないだろうか。その象徴が、わが国の住宅の寿命の短さだ。長く住めないのなら、苦労して家を建てたり、買ったりする意味はない。やめておいたほうがいいのではないかと、やはり購入マインドを冷やす大きな要因になる。国土交通省などの調査によると、住宅を建て替えるときの平均経過年数はわが国が30年に対して、アメリカは55年で、イギリスは77年。イギリスの半分以下の期間しか使用しない段階で建て替えているわけだ。この状態では、親が家を建てたり、買ったりしても、子どもの代になれば子どもが建て替えなければならない。孫もまた同様。これでは、いつまでたっても住居費負担から逃れられない。どの世代もセッセと住宅資金づくりに励み、住宅ローンの返済に追われることになる。これに対して、アメリカやイギリスでは親が家を建てれば、子どもはひとまずそのまま住み続けることができる。

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