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ドアの開閉

2015年9月22日「火曜日」更新の日記

2015-09-22の日記のIMAGE
映画なら、これでものの数分もしないうち、がちゃりと重い響きがし、ドアが開くというのが常だろう。が、現実は違った。いくら固唾を呑んで見守っていても、その瞬間が来ない。パンチョ氏の後ろで、息を詰めていた私も、緊張が続かなくなり、少し離れて深呼吸しにいったりした。思ったより長期戦になりそうだ。道具をとっ替えひっ替えしては、試す。「この鍵は、どっちに回しますか」「内側から開けるときは、どうするんですか」私に対する質問が多くなる。プロなので、顔に出すことはないが、内心かなり焦っているらしい。車の方に立っていくので、とっておきの秘密兵器でも出てくるのかと思ったら、無線で連絡をとりはじめた。「……開かねえんだわ。いや、鍵は……なんだけどさ」さらなるプロに、指示を仰いでいるようだ。だいぶ長く話し込んだ末、再トライ。二月のこととて、夜はしんしんと冷えてきて、手をこすり合わせたり、息を吹きかけたりしながらの作業である。足踏みをして、寒さをまぎらわす。このドア一枚隔てた向こうに鍵があり、あれさえあれば、何の苦もなく開けられるのに。もう一台、黄色いバンが現れた。パンチョ氏が出動を要請したのだろう。夜の住宅街に、赤いライトが並んで、ものものしい眺めになってきた。男ふたりはなおもしばらくドアと向き合っていたが、ついに道具を手放して、鍵穴にじっと掌を当てた。オートロックが寒いと作動しにくくなるとの私の説明を思い出し、温めればなんとかならないかと考えたのだろう。

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