管理人はだれ！？

2016年3月24日「木曜日」更新の日記

確かに床面積の比較で見ると、アメリカのみが突出して広く、他の国は日本も含めて大きな差異はなくなっています。この議論は、床面積のはかり方が国によって違うなど、一概に数字が示すとおりだとはいえないのですが、いちおう戸建ての持家住宅に限れば、ほぼ日本の住宅も欧州に引けを取らないようになっているといえそうです。実は問題は都市にあります。あまり聞かなくなりましたが、「木賃アパート」という言葉があります。こうした老朽化して取り壊されない賃貸住宅には、狭くて劣悪なものが少なくありません。また、ワンルームといわれるアパート、マンションの床面積は､当然ながら狭くなります。こうした住宅が、平均して日本の住宅を狭くしているのです。日本で一番広い住宅……これは建物だけではなく、敷地の広さも含めてですがーセンに住んでいるのは、富山県の人たちです。全体に、地方ほど広くてゆったりした住宅に住み、都会ほど狭い住宅に住んでいます。もちろん、単身者が多いなどの家族構成の問題もあるのですが、これは何よりも土地の広さ・価格の問題が大きく影響を与えているのです。大ざっぱにいうと、ウサギ小屋との批評が現在あてはまるのは、都会のアパートぐらいになりつつあります。それでは、床面積が大きくなったとしたら、日本の住宅は立派になったのでしょうか。実は、「誘導居住水準」には、部屋の広さのほかに、安全性、耐久性、快適性、高齢者への配慮や省エネなどについて「適正な水準」を確保することが決められています。ここに挙げられた観点で、水準を上げていくことが、住宅の質の向上に結びつくことには異論がないと思います。しかし、実際にはこの基準は抽象的で、具体的にどの程度の性能や設備であればいいのかがわからず、整備する目標とはなりにくいのです。面積の基準では、全体の４割強が誘導居住水準を満たしていますが（平成５年）、面積以外の住宅の品質については、現在、定量的にはかる術（すべ）がないのです。つまり、ここから先の議論は、感覚的なものにならざるを得ません。読者の皆さんは、日本の住宅は海外に比べて良いか、悪いかと聞かれたら、どうお答えになるのでしょうか。いくつか代表的な議論を挙げてみましょう。

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