管理人はだれ！？

2016年9月22日「木曜日」更新の日記

第二次世界大戦後、占領軍の指示の下に実施された農地解放により、農地における大地主制は事実上崩壊した。しかし、一九六〇年、日米安保保障条約で、憲法第九条の関係で軍隊を保有できない日本の国防を米国に依存する代わりに、米国の要求する自由化を受け容れることで、日本の炭鉱の閉山と農業構造改善が進められて、都市化が一挙に推進されることになった。都市化する人口を収用するために、政府は公営住宅、公団住宅、公庫住宅の三本柱による住宅政策を、昨年までの八期にわたる住宅建設五ヵ年計画で進めてきた。住宅建設を進めるためには土地が必要である。政府は土地の宅地開発を事業によって推進するとともに、遊休土地の積極的活用を促すため、農地や遊休地に対する宅地並み課税を推進してきた。 農地所有者は、農地のように農業経営収入では負担できない税負担を強いられる結果になり、納税に必要な額の資金を手にするため、土地の切り売りを余儀なくされてきた。農業経営の中心である米作の場合、一反で八俵の収穫が得られて、一俵一万八〇〇〇円で米の買い付けがされても、一反で一四万四〇〇〇円である。一町歩（一〇〇反）で、一四四〇万円である。全体の八割は農業の直接費用で消えていくため、よくて二九〇万円程度の粗利益しか得られない。そのため、三町歩以上ないと専業農家としては成り立たない。その結果、大多数の近郊農業は、第二種兼業農家として、一般の勤労者として働き、片手間に農業を営むということになる。大多数は一反歩程度の農業者であるが、その農地が宅地並み課税を受けるとき、坪四五万円と評価されると、一億三五〇〇万円の土地資産であると評価され、都市計画税と固定資産税の合計は二三〇万円になる。農業収入は、利益として年間三〇万円程度であるので、残りの二〇〇万円は勤労者の賃金から支出することになる。つまり、地主は高い資産評価を国税からされるほど、高い税を支払わされ、勤労者の生活を圧迫されているのである。 実際の農作業は、おじいちゃん、おばあちゃん、かあちゃんの三ちゃん農業として営まれてきた。しかし、おじいちゃん、おばあちゃんは亡くなって、相続が発生すると、前例の一反歩所有者は、約四〇〇〇万円の相続税の支払いが義務付けられるため、所有する土地の約四割強を売却しないと納税ができなくなる。納税額は三割弱であるが、土地売却にともなう税負担が約一割付加されるためである。このようにして、土地所有者は三世代の相続で土地を全部手放さなければならなくなる。このようにして、強制的に売却された土地が都市部での宅地供給となり、無計画で行き当たりばったりなスプロール開発を誘導して、既成市街地に寄生した道路公園などのインフラストラクチャーと電気ガス、上下水道のタコ足接合開発が進んでいく。それがどこまでも貧しい都市のスプロールになっている。

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