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住宅版PL法

2016年12月20日「火曜日」更新の日記

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秋田県木造住宅(秋住)は「秋田杉を素材にした良質な木造住宅を安価に提供する」ことを目的に、秋田県などが出資して設立された第三セクターの会社です。県の職員の天下りも積極的に受け入れていたようですが、ご多分に漏れず、半官半民の放漫経営の結果、182億円もの負債を抱えて倒産してしまいました(97年)。そればかりか、倒産のあとに、秋田県出資のこの住宅メーカーが建てた新築物件の大半が欠陥住宅だったことが明らかになり、大騒ぎになりました。あちこちで報道されたように、秋住のつくった住宅は土台そのものが歪んでいたり、柱と柱がつながっていないようなすさまじい欠陥商品ですが、肝心の会社が経営破綻してしまったため、被害者側は修理や賠償を求める相手がいなくなってしまいました。そのため、出資者であり、かつ秋住の物件を積極的に宣伝・支援してきた秋田県に賠償を求めたものの、「民間事業者のトラブルに県は一切関係ない」と一蹴されてしまいました。何人もの県幹部を天下りで送り込んでおきながら、都合が悪くなればこの有り様です。このような欠陥住宅トラブルの急増に建設省(現・国土交通省)も重い腰を上げ、ようやく、住宅版製造物責任(PL)法の制定作業が始まりました。この法律制定後は、基準を超える欠陥が見つかった場合、立証責任は業者側に課せられることになりますから、被害者にとっては大きな進歩です。業者が自分たちに過失責任がないことを立証できなければ、被害者側の申し立てに沿って修理や賠償に応じなければならなくなるからです。欠陥住宅以外に、最近問題化してきたものに、マンションの管理費や修繕積立金にまつわる業者と住民とのトラブルがあります。築年数の古いマンションは、定期的に修繕を行わなければ、資産価値が大きく下がってしまいます。その意味で修繕費の積み立ては、自分の不動産資産を維持・管理するために絶対必要なコストなのですが、販売時点での値頃感を演出するために、この修繕積立金を異常に安く設定する業者が出てきました。こうしたマンションは、一見すると管理費・修繕積立金が安くてリーズナブルなようですが、10年くらい経つと、修繕のために多額の費用が必要になります。また、管理費・修繕積立金をマンション管理会社に預けていたところ、その管理会社が負債を背負って倒産し、これまでの積立金が銀行に差し押さえられてしまった、というトラブルも起きています。ビル・マンション管理の世界では、管理費・修繕積立金の預金口座が管理会社の社長名義になっている、などという信じられないことが当たり前に行われているとも聞きます。こうした預金を担保に管理会社の社長が銀行から融資を受ければ、修繕積立金を差し押さえられても文句はいえません。このように、日本の不動産業界・不動産市場に存在するさまざまな理不尽なルールや慣習が、昨今の底なしの地価下落の大きな原因のひとつになっているのです。

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