管理人はだれ！？

2017年4月17日「月曜日」更新の日記

　店舗の入り囗になる広いウッドデッキは、オーニングで覆って鉢植えのハーブや商品を並べて、最大の見せ場にするつもりだった。それを知っているはずなのに、縁側まがいの狭いデッキを付け足してお茶を濁そうとしている。どういうことかと、上司がＡ工務店に電話を入れたが、留守電。「あちこち行き違いが発生しているようなので、大至急修正するよう専務に伝えてもらえますか」伝言を吹き込むも不安がつのる。本来であれば、今日は２階の和室と納戸の壁に穴を開ける日であった。４・５畳、３畳と各部屋が狭いため、壁をぶち抜き引き戸にすれば、個室になり、オープンスペースにもなり、エアコンも１台ですむ。写真を撮っておいた方がいいだろうと、わざわざ山田君も連れてきた。だが、この有り様だ。専務の携帯もつながらないまま。「あのお、ヨドバシさんが、早くこの現場を上がりたいって、僕に言ってきましたよ」２階の奥まった場所で本人に聞こえないよう、山田君が教えてくれた。「どうして」「あの人、突然どこかから連れてこられたみたいですよ」上司がどういうことだと割って入った。「よく分かりませんが、めったにＡ工務店の人は来ないとか。いつもひとりだそうですよ」私が何か言う前に上司は下に降りていき、店舗用の部屋にできた作業台－仕込み場で電ノコを使うヨドバシさんに、ちょっといいですかと声をかけた。「ここに他の大工さんは来てないんですか」その表情が険しかったので、ヨドバシさんは一瞬身構え、そんな事、おらに言われてもと口ごもりつつも電ノコのスイッチを切り、こっちもわからないんですよと言った。「最初は人手が足りないから２週間だけ手伝ってくれといわれた。ところが来てみれば大工はおらひとり。ずーっと大工やってきたけど、こんな現場初めてだよ。解体からこっち、Ａ工務店の社員はほとんど来ねえ」彼が言うには、たまの打ち合わせも、星さんと専務は話が終わるとどこかに行ってしまうらしい。「そもそも、私は応援で来ただけなんですよ」iＰｈｏｎｅをいじっていた山田君が「アルバイトなんですか」と、ヨドバシさんに聞いた。上司は余計なことを言うなとたしなめる。責任施工と聞いていたのに、ひょっとしたらＡ工務店はヨドバシさんに仕事を丸投げしているのではないか。彼はいわゆる応援大工で、決算を控えた３月、あちこちで工事が集中するため、不足する大工を補うための助っ人に違いない。業者は営業成績を上向きにするため、この時期までに完成引き渡しまで持っていこうとする。まして、中古リフォームはブームになっている。

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