管理人はだれ！？

2017年4月26日「水曜日」更新の日記

　そうこうするうち、ベテラン大工の仕事がなくなり、給料も払えなくなる。よって、工務店は傾き、高齢の大工は職を失い、私たちは経験の浅い大工による工事を余儀なくされる。これが真実だとすれば、何という矛盾だろうか。せっかく古い家を直しながら理想の家を持つというリフォームに目覚めても、これではなかなか満足のいく住まいが得られないのではないか。ヨドバシさんのようなベテラン大工を必要としているのは工務店の社長ばかりではない。これからリフォームをする人々にとっても、誠実で腕のいい大工をどうやって見つけるかは大きな課題なのだ。すでに７回リフォームを経験してみると、どんなにハウスメーカーや工務店が素晴らしくても、最後に工事の是非を決定するのは大工の腕であることもわかってきところが腕のいい大工はなかなか仕事にありつけず、私たちもどうやって探せばいいかわからない。しかもサイトを立ち上げＰＲできる高齢の職人など聞いたことがない。ベテラン大工の情報は表に出ないから、選んだ工務店、メーカーから当たりくじのように突然顔を出す。私たちが欲しいのは業者の企業理念よりも、現場大工の技量のはずなのに。すべての意味において、情報を遮断しているのが旧態依然とした工務店であり、それが結果的に自分たちの仕事の選択肢を狭めているとしたら、こんなにもったいないことはない。そんな話をしていると、ハシゴの上からヨドバシさんが「俺は換気扇―個でもやりますよ。息子とふたりで何度もハクビシン退治もした。業者が見つからないときには連絡下さい」と、解説を続ける賃貸業者に頭を下げた。「こういう人は、なんだかんだ重宝がられて食いっぱぐれがない。下手に社員を抱えて社長然としているようなところは、もうだめですよ」リフォームの本を出した私の元には連日、腕のいい大工を紹介して欲しいという問い合わせも寄せられた。それだけ一般人は情報が得にくいのだ。はたしてＡ工務店はどちらに属するのだろうと思った。専務自体他の現場があるといい、このヨドバシさんにすべてを放り投げているようにも思えた。あらゆる業界があの手この手で品質の向上に努め、顧客の猥得に必死なこのご時世に、人生の中で私たちが最も多くのお金を落とすといわれる住宅産業だけは、一部を除くと大工の情報公開も含めて顧客のニーズに追いついていない気がする。リフォームによって新たな人生設計を考える人が増えているのに、いざ腰を上げると、それを阻む壁に突き当たるのはいつも依頼主である私たちなのだ。休憩を取ったヨドバシさんは、手伝いますという山田君を従えて２階の大壁を作り始めた張り切る山田君はハシゴの上のヨドバシさんに、断熱材を渡す役目を仰せつかった。

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