管理人はだれ！？

2017年5月7日「日曜日」更新の日記

　賃貸経営に逆風となっているのが、礼金、敷金、更新料、原状回復などを巡って頻発している訴訟です。元々、法的に根拠がなく、社会的な通例として支払われてきた礼金、敷金、更新料に異議を唱え、不要ではないかと考える人が増えているのです。最近ではかつて家賃の２ヵ月分だった礼金がゼロになっている地域も増えており、オーナーの収入は大きく減っています。空室が増えているため、物件の競争力を上げるには、退去後の原状回復は欠かせません。従来はその費用を敷金や礼金などで入居者から徴収する仕組みだったのですが、それさえ難しくなっています。常識的な住み方をしていた入居者に対しては、経年、使用による損耗、劣化は問えないことになっており、入居者が入れ替わる度にオーナーは自腹で原状回復をしなくてはいけなくなってきているのです。また、原状回復のみならず、次々と新規の賃貸物件が建設されますので、その競争にもついていかなければなりません。ですからようやく建物の返済が終わるころには、大規模リフォームが必要となり、また借金を抱えることになります。こうした様々な状況を考えると、これからの不動産投資はこれまでの一般的な居住用物件ではダメだということがお分かりいただけるはずです。同様に相続税対策のために、オフィスビルなどの投資用収益不動産を買うのも１００％間違い。借金でマイナスの試算が増えても、ビルを購入したことで、ビルが資産になりプラスになっていますから、プラスマイナスはゼロ。何の節税にもなりません。こうした社会背景を受け、平成23年４月に改正高齢者住まい法が公布され、既存の高齢者向け住宅である、高円賃、高専賃、高優賃（地域優良賃貸住宅高齢者型）が、「サービス付き高齢者向け住宅」として一本化されたのです。この改正法の施行により、一般の方たちに「サービス付き高齢者向け住宅」の運営のチャンスが広がり、今まで医療法人、社会福祉法人などの公益法人や一部の民間企業が独占していた高齢者向け賃貸住宅事業に参入しやすくなりました。超高齢社会に突入しているにもかかわらず、高齢者に対応できる住宅整備は全く追い付いていません。通常の賃貸物件では、空室率や家賃の未納問題などが山積ですが、高齢者向け賃貸住宅の需要は高く、安定した収益が望めます。しかも、特定事業者だけの特権であった、補助金、税の軽減などを受けられるというメリットもあります。平成に入ってからの20余年で、高齢者のみの世帯は実に３倍以上にも増えていますが、受け入れる介護施設はそれほど増えていないことを考えれば、介護を受けられ、年金生活でも暮らしていける住宅「サービス付き高齢者向け住宅」のニーズは、日本のどの地域でも確実に高まっています。具体的に国土交通省が目指している住宅は「高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる住まい」です。戦略目標としては、平成32年をめどに、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合を欧米並みの３～５％にするとなっています。同省の資料によれば、平成22年時点での日本の割合はＯ・９％ですから、今後10年で３倍以上の増加を目指すことになります。

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