管理人はだれ！？

2017年8月8日「火曜日」更新の日記

メーカーや工務店に依頼するときと建築家に依頼するケースで、もうひとつ変わってくるのが工事監理である。この監理とは、いわゆる現場監督ではなく、設計図どおりに工事が行われているか、スケジュールどおりに進行しているかなどをチェックすることが主な内容になる。監理者は、建て主の代理人として現場の管理者である現場監督と打ち合わせ、進捗状況を逐一確認し、建て主に報告する義務を負うわけである。 「現場監督の監督」といってもいいだろう。監理業務には、重要なポイントだけをチェックする重点監理と、週１、２回定期的に監理を行う定期監理があるが、最近問題になっている欠陥住宅は、施工にあたって適正な監理が行われていなかったことが原因であることが圧倒的に多い。 通常、建築家に依頼する場合は、建築家とは設計だけでなく監理の契約も結ぶことになる。つまり、監理者と施工者は別だ。これに対して、メーカーや工務店で建てる場合は、設計と施工を一括して依頼するため、監理者も同じ組織に属しているのがふつう。したがって、問題の早期発見・解決がしやすいという利点はあるものの、適切な工事が行われているかどうかのチェックがどうしても甘くなりがちというデメリットは否定できない。ほとんどのメーカーはなんらかのかたちでこれを回避する態勢をとってはいるが、完全に不安を払拭することは構造的に不可能だと言っていいだろう。 悪質な業者の場合は、この監理業務をすべて放棄しているケースすらあり、結果としてこれが欠陥住宅を生み出す原因になるのである。 　一方、建築家が監理する場合は、施工業者とは一線を引き、あくまでも建て主の代理人として、その財産と利益を守る立場に立つ。このため、監理業務をおろそかにしない建築家なら、各段階で厳しいチェックが期待でき、品質の向上が図られるとともに、欠陥住宅の防止にもつながっていく。建築家に支払う設計・監理料には、これらの業務が含まれていることも考慮すべきだろう。

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