管理人はだれ！？

2017年8月18日「金曜日」更新の日記

３階建てのもの。「水口建築デザイン室」の水口裕之氏のプランである。水口氏が目指したのは「下田という地方都市の商業地域の街並みにおいてモデルとなり得るような、現代的かつ品のある建築」。そのうえで、吹き抜けや外部空間を通して、医院と住居それぞれの問が「公私の区別を損なうことなく再びつながるような」関係を構築したという。 　重厚なボリュームの低層部と軽いイメージの上階部で構成される外観は、寡黙でシンプル。道路面に大きなガラスを配して開放的にするのではなく、開口部を極力小さくして、一部に設けられたスリット越しに内部の診療所の気配が少しだけ漏れると同時に、内部からは行き交う人や車の姿をスリットを介して見ることで、「断片化された街の記号としてのみ認知」されると水口氏は言う。 　しかし、内部に足を踏み入れると表情は一変する。敷地の奥行きをフルに生かした間取りが人を奥へと誘い、敷地の奥隅に配置されたパティオへと導く。このパティオに面したギャラリーの機能も併せ持つ待合室の上部は、２層吹き抜けになっていて、その窓から得られる明かりによって、「空間は閉塞から開放へと劇的に変化」するのだという。つまり、意図的に狭められた暗いエントランスから光に導かれてパティオのある明るく広い待合室に進んでいくことで、明暗のコントラストを際立たせるとともに、それがもたらす圧倒的な開放感の実現を狙ったわけだ。 　１階に比べると軽いボリュームの、２、３階の住居部分についても、吹き抜けを介して２階居間と３階主賓室がつながった巨大なワンルームを形成。限られた面積の中での最大限の広がりを感じさせ、さらにルーフテラスを設けて「温暖な伊豆ならではの気持ちよさを存分に味わえるよう」になっている。このテラスや吹き抜けは、将来の増築を見越した余剰スペースとしても考えられるという。

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