管理人はだれ！？

2017年8月29日「火曜日」更新の日記

ある日、パリ近郊、モントルイユの街に住む友人の画家、ウードゥの家に誘われたときのことです。大きな一軒家の、アトリエを覗いて新しい作品を見せていただいたあとに、ゆっくりお茶を飲もうと、キッチンに入った瞬間に、ドキッと驚いたのを覚えています。ウードゥの家は、リビングルームからキッチンまで、内装が古きよきフレンチスタイルだったのです。地方や田舎に別荘を持つ友人たちの家を訪れると、門を開けた瞬問にふわーっとタイムスリップをした気分になります。空想上のフランスのおばあちゃまの家に招かれた、そんな気分になるのです。ウードウの家の内装もそうなのですが、十八世紀から伝わってきたフランスならではのインテリアは、たまらなくチャーミングです。　 想像してみてください。　木の家具の色合いはオフホワイト。カーテンやテーブルクロスはレースや刺繍の施されているシンプルな白いコットン。家の総合的な色合いは淡い、薄い色。フランスのブルジョワ階級独特の、控え目ながら、温かみのあるインテリアです。家族代々受け継がれてきた木の家具。なにげない可愛いお花のモチーフの食器。本がこぼれそうな大きい木の本棚。オフホワイトのポルスレンヌ（磁黄）の食器。白いシンプルなブロードゥリー（刺繍）のシーツや布巾、テーブルクロスなど。そして、ドアについている白い卵形の取っ手。エマイユ（琺瑯）のポット、可愛い花柄のコーヒーボール。木でできたコーヒーメー現代人は今でも、このスタイルに憧れるものです。 日本の方も、フランスにいらっしゃると、この、フランスの昔の香り漂うチャーミングなオブジェに惹かれることが多いようです。　　　　　　　　　　　　　　　　実際に、このオールドスタイルがあまりにも人気のため、昔は蚤の市で百円で購入できたコーヒーボールが今は一〇倍に値上がりしてしまいました。ある日、蚤の巾のお店のオーナーにその理由を聞いてみたら、「このスタイルがアメリカ人と日本人にあまりにも人気で、飛ぶように売れるものだから、高く売ることにしたんだ」と、正直に説明されました。　現に、日本のインターネットの「ヤフー・オークション」で、「フランス／アンティーク／食器」というキーワードで検索してみると、右に挙げた商品がかなり高めのプライスで販売されています。そして、今やフランスでも、日本でも、これらのオールドフランスの古きよき商品たちのコピー商品がたくさん出回っています。 しかし、そんなフェイクは買わないでくださいね。まったく絵になりません。ジョーク程度の装飾品にすぎません。古いものは、本物だからこそ、生きるのです。

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