株式を上場している会社の情報はオープンだ
2018年2月20日「火曜日」更新の日記
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- 株式を上場している会社の業績は、『会社四季報』(東洋経済新報社)や『日経会社情報』(日本経済新聞社)で知ることができる。熱心な投資家の方なら、先刻ご承知だろう。年に4回発行され、値段も1000円ほどで近所の書店でも入手しやすいのがよい。
個人向注文住宅中心の主なメーカーで上場しているのは、次の会社である。
エス・バイ・エル
住友林業
殖産住宅相互
積水ハウス
大和団地
大和ハウスエ業
ナショナル住宅産業
ニッセキハウスエ業
ミサワホーム
三井ホーム
これらの会社については、かなりくわしい情報がわかる。
まず、過去数年間の売上・利益の推移、これがもっとも重要だ。
売上は順調に伸びているか。売上が好調なのに利益が増えていないのは、人や広告宣伝費を増やしすぎたのか、それとも新しい工場を建てたことで償却費がかさんだのか。
売上・利益ともに好調だからといって、手放しで喜べないのが株式の銘柄選択とは違うところ。
一部のユニット住宅を除けば、家づくりは現場作業が大半を占める。売上が拡大していれば当然、施工する工務店や職人の数を増やさなければならない。熟練度の低い人に建てられる危険も起こりうる。設計者、営業マンすべてについていえることだ。
過去の業績だけでなく、これからどうなるかも大切だ。
それにはコメントを読めばよい。専門の経済記者が筆を執るだけあって、輸入材の活用や部品点数の絞り込みで原価率が一段と改善、住宅展示場の閉鎖などリストラ推進など、核心を突いたシビアな評もある。
注意しなければいけないのは、株式投資と違うのだから、目先の業績うんぬんに一喜一憂する必要はないという点だ。
では、これらのデータをどう活用すればよいか。
見積りや契約書の内容などから絞り込んだ意中のメーカーの、最終チェックに使うことだ。
その会社の業績に不安を抱いたら、営業マンに率直に告げて条件を良くするよう交渉してもよいし、あっさりと他社を選んでもよかろう。しょせん一寸先は闇なのである。最終的な決断はあなたがするしかない。
逆に、株式を上場している会社だからといって、そうでない会社より上だとは一概にはいえないことに留意願いたい。
何万棟を建てたと豪語している会社に頼んでも、あなたの家を担当する工務店が何万棟の実績をもっているわけではない。これまでに20軒しか経験がなくても達者な店の方が安心できよう。
上場しているのは大きな会社が多いから、新聞やテレビで広告を見る機会も増える。夕レントが宣伝していたりすると、ますます有名という感じがする。ダイレクトーメールや折り込みチラシも立派であろう。だが、これらの広告宣伝費は、あなたの一軒には全く寄与しないことを忘れてはいけない。有名な会社で建てたら、家に招いた客に、××で建てたのよ、と話しが通じるぐらいかもしれない。
家を建てようとする者にとって、上場しているメーカーの最大の利点は、業績をオープンにしていることだ。
先の『会社四季報』より詳細な内容もその気になれば調べられる。
有価証券報告書という資料だ。各法人が届け出たものを大蔵省で発行している。1冊(ひとつのメーカー)が約60ページで値段は千数百円ほど。従業員に払う給料より広告宣伝費の方が多いとか、建物の原価のうち材料費は35%ほどで大半が外注費用であるといったこともわか
る。外注費とは、下請の工務店に払うものだ。このケースだと、仮に2000万円の家とすれば、材料費代は700万円でしかない。
このように、じっくり読んでいくと、その会社の実像が浮かんでくる。上場しているメーカーと契約する方は入手してみてはどうか。政府刊行物センターやサービス・ステーションで買える。全国に数十個所ある。大元の連絡先〔大蔵省印刷局普及管理室 TEL 03(3587)4283〕に確認されたい。
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