部屋探しは重要!快適な生活を送る方法!あたらしくらし

トップ > 平成30年2月> 22日

家の広告は、クルマに比べると不親切だ

2018年2月22日「木曜日」更新の日記

2018-02-22の日記のIMAGE
 住宅メーカーの広告は実にわかりにくい。同じような不動産を扱う業界でも、新築マンションの売り出しや中古住宅の仲介をする会社のチラシは、熟読さえすればその実体がそこそこつかめる。まだ建ってないマンションでも、完成イメージを思い浮かべることができる。また、期待も裏切られない。  これに反し、住宅メーカーのチラシなどは、隅から隅までよく読んでも、買い手として最低必要な情報が得られないものが多い。  家を1軒注文し、家づくりについて2冊目の本を書いている私でさえ、こう思う。初めて家を建てようとする人にとって、不親切この上ない。 この点を車の広告と比較して説明しよう。ちなみに私は車にまったく関心がない。運転免許を持ってないし、バスなどの交通手段がなければタクシーにも乗らない。タダで乗せてくれるといっても長距離は真っ平、そんな人間だ。家づくり初体験の方以上に、車の知識は乏しい。 そんな私が初めて車の広告を見たのだが、かなり理解できるのだ。注文住宅のものとは比較にならない。  例に取り上げたのは、新聞に折り込まれてきた自動車ディーラーの小冊子である。営業所は家から歩いて20分もかからない。地域を絞ってのものだ。  まず写真が目に入る。ずんぐりした車が海沿いの道を走っている。背景がボケているのでスピード感がある。  誕生 ××という名のスポーツ。オンロードもオフロードもきびきび走るアーハン4WDXX新開発デビュー  というのがキャッチフレーズ。若いハンサムな男の上半身の写真も合成されている。  写真に付けられた注意書きが素人にもわかりやすい。  アルミホイールがメーカーオプションである。タイヤの中央のピカピカ部分のことだろう。 了解。  販売店装着オプションなのが、スペアタイヤカバー、バックバイザー、サイドロッカーガード、サイドバイザーということもわかる。写真を眺めて、オプションを除いた状態を想像できる。  運転席内部の写真もある。エアバッグやライブサウンドシステムはオプションと書いてある。 何となくわかる。  主な標準装備はというと、フルタイム4WD、フロント16インチ用ベンチレーテッドディスクブレーキ、ワンタッチ式パワーウィンドウ&ドアキー連動電気式ドアロック、電動リモコンミラー、エアコン、チルトステアリングなど、ただし最後の2つはE仕様に含まれない。  E仕様は何だ、と下を見ると価格表が出ている。 車両本体価格(タイヤ交換用工具付き 付属品なし) E仕様  159.8万円 エアコン標準装備 176.9万円  エアコンやチルトステアリングなしだと、標準装備に比べ17万円ほど安くなるのがわかる。 価格に付けられたコメントも的確だ。保険料、税金、登録料などの諾掛が別途かかると書いてあるし、オプションは価格に含まれないと明記してある。  何よりありがたいのは、価格はメーカー希望小売価格で、参考価格です。価格は各販売店が独自に定めていますので、詳しくは各販売店までおたずねください、との一文だ。  上記の価格を上限として交渉すればよいのだな、と推測できる。あとは、車庫を用意しガソリンを入れさえすれば、車に乗れるのだろう。  一方、住宅メーカーの広告はどうか。  写真は大きい。新聞見開き大サイズのチラシの片面をフルに使うメーカーもある。写真についてのコメントは、と見ると、車のものと比べ素っ気ない。  家の外観写真についてコメントなしのチラシさえある。そんな豪邸を建てられる客は少ないのだろうが。  ×〇タイプ発売と見出しを打っておきながら、外観は×〇タイプそのものではありませんが、この写真の様に2階窓下から下記の高級外装材仕様となります  と細かい字で言い訳をしている会社もある。たしかに下に外装材のサンプル写真は出ているが、なぜ×〇タイプそのものの写真を載せないのか。  割合に良心的なメーカーでも 掲載の写真にはキャンペーン仕様以外のものが含まれています。また、外構等は価格に含まれておりません。  と書くに止まる。  どれが、キャンペーン仕様以外なのか明記していないのだ。  家の外観写真なのだ。庭木を別にすれば、建物自体はのっぺらぼうなのである。屋根、外壁、バルコニー、玄関ドア、シャッターボックス、サッシぐらいしか写ってない。どれが仕様外なのか。先ほどの車の広告なら、ど素人の私でも写真を見るだけでわかったのに、住宅の写真は 悩むばかり。  写真でこの調子だから、イラスト表示の場合はもっと心もとない。 イラストのため実際とは異なります。一部オプション仕様が含まれています  車の広告で、このような表現をしたらどうなるだろう。価格と仕様の関係になるともっと混乱してくる。  まず、大々的に写真で取り上げている豪邸の価格が、まったくわからない。延床面積も不明だし、かりにわかったとしてもオプションが含まれているから、坪単価を掛けて算出するわけにもいかない。  プラン例として価格は出ているのだが、後でくわしく説明するように、これが曲者。平面図しか載せてないメーカーが多い。屋根の形状、軒の出具合、天井の高さ、基礎の高さといった 基本的な情報が欠けているのだ。  プラン例の図面にどんなコメントが付いているか。あるメーカーのチラシを見てみよう。図面中の家具は別途料金と書いてある。常識だろうが、まあよい。次の、屋内外ガスエ事、屋外給排水工事、輸送費、諸申請費用等は含まれておりません、の一文が不親切なのである。  家づくりが初めての方は、本体価格の他にこの4つの費用を払えば家が建つと考えてしまうだろう。  錯覚とまではいわぬが、まだ確実とはいえぬ。床の間や仏壇置場、雨戸(シャッター)、エアコン、カーテンレール、TVのアウトレットや電話配線が2ヵ所あるかなどを確かめてからのことである。  というのもチラシに標準仕様をきちんと書いてないからだ。システムキッチンや朝シャン用化粧台の写真は載せているのに、右に述べたようなごくふつうの生活に必要なアイテムを省略するケースが多い。  他にも屋外の電気工事費や営業管理費がかかるのに、諸申請費用等、となっている。メーカーにとっては小さな金額かもしれないが、長期のローンを抱える人にとってはかなりの負担なのだ。どこの自動車ディーラーが、自社の営業マンの経費を、等、と表示しているだろうか。  住宅メーカーの広告は 1.坪単価をいかに安く見せるか(押さえるのではなく) 2.きちんとした仕様を明確にしないで、キッチンなどの付帯設備でおトク感を演出する  この2点に集約されることが割に多いと考えておけば間違いはない。むろん個々の会社によって、品格の差はある。

このページの先頭へ