「あと30万円安くしてよ」は禁句
2018年2月27日「火曜日」更新の日記
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- 価格を含めた条件の交渉は、住宅メーカー選びの最後の局面である。
会社の規模や業績のアウトラインを知り、契約書の内容やアフターサービス規定、施工の管理システムもわかった。そして何社かに絞り見積りを取り、さて、どこに決めるかという訳だ。
誰でも安く買いたいのは人情。そこで知恵を働かせたつもりで
「〇×社よりおたくの方が30万円高いから値引きしてよ」
と話をもちかける人は多い。
何人もの営業マンからこういう話を聞いた。
「見積りはきちんと算出したものです。そうまでして注文を取ることはないというのが、私どもの方針です」
いささかきれいごとすぎる発言ではあるが、うなずける点も多い。
まず、会社として正式に見積りした金額をおいそれと変更したりしたら、信用に関わる。
「A社の営業にいってウン十万円まけさせたよ」などと吹聴されてはたまるまい。
こういう値切り方をする人は、食べ物屋などでも、1800円の刺身定食を、「隣の店じゃ1500円だったから安くしてよ」
と頼むのだろうか。
あなたは素人、相手は商売のプロなのである。要求を黙って受けいれる主人の方が怖い。こっそりと冷凍ダネや鮮度の落ちた材料を使われるかもしれない。
家づくりも同じである。
自分の所の利益を削る工務店主や営業マンはいるまい。また、住宅メーカーの本部としても、第一線で値引きばかりやられては利益がふっ飛んでしまう。営業マンが独断で安売りしないよう、社内のチェック体制を設けているものだ。
だからこそ、客の要望に一肌脱いでくれる会社は怖い。
自社の利益はしっかりと確保したまま、下請けへ払う金額を減らすであろう。代金をハネられた下請けが、材料か手問のどちらかで埋め合わせようと考えても不思議ではなかろう。客のあなたがすべての仕様を熟知していたとしても、注文住宅は完成品を買うのではないから、どこかでしっぺ返しがくるものだ。
ひと声ウン十万円の値引き要請をしてもよいのは、そのメーカーの大株主や大口得意先の購買部長ぐらいのもの。ふつうの人間は、住宅不況で住宅金融公庫の融資枠が余っている時期に限ったほうがよろしい。
とはいえ、消費者の立場として賢い買い物はするべきだ。
何しろ94年7月に建設省が発表したように、日本の家はアメリカの2倍近くもするのである。
この事実を踏まえ、タフに交渉していこうではないか。
作戦は次の手順で進めていきたい。7つの手順は原則としてこの順番でメーカーにもちかけていくこと。ひとつの手順で交渉するときは、後の手順について考えていることをおくびにも出してはいけない。
そして、ひとつの手順で何らかの譲歩(満足)を得たら、それに甘んじないで次の手順に進むことだ。以下、これをくり返していけば、かなり有利な買い物ができる。満足度の高いメーカーと契約することは、いうまでもない。
さて、交渉の手順である。
手順1・・・わが家をモニターにするよう申し入れる。
手順2・・・見積り価格を変えないで、設備などのワンランク・アップを頼む。
手順3・・・現物サービスを要求する。
手順4・・・労務サービスを要求する。
手順5・・・お金の支払いを遅らせてもらう。
手順6・・・アフター・サービスの期間を延長させる。
手順7・・・紹介制度の謝礼アップを要求する。
ひとつひとつの手順については、次に説明するが、成功すれば成果は大きい。また、話の進め方さえ間違えなければかなりの譲歩を得られるはずだ。
これらはビジネスの現場で、通常行なわれている交渉のテクニックを応用したものにすぎない。専門用語では購買管理といい、よいものを、安く、かつ安定して入手するための手法である。
生涯最大の買い物に挑もうとしているあなた、十二分に活用していただきたい
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