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中古マンションのスラム化

2018年4月21日「土曜日」更新の日記

2018-04-21の日記のIMAGE
 いま大きな都市では高層マンションが人気を呼び、次々に建てられ売り出されています。 世の中は不景気のさなかですが、逆に土地代と貸出金利の低下が追い風になっていることもあるのでしょう。  この20~30年の間に多く建てられた4、5階建てのいわゆる「中層」の集合住宅は、最近すっかり影を潜めてしまいました。ただ「数」の需要を満たすだけの集合住宅は、当時5階までならエレベーターは不要ということで、公営住宅にしても公団住宅にしても主としてコストの点からたくさん造られたわけです。初期の分譲マンションもほとんどは中層の建物でした。エレベーターを付けるとコストがかかって、5、6階建てでは割が合わず、いきおい十数階の高層建物ということになります。現代ではエレベーター抜きの集合住宅は考えられません。土地の有効利用とあいまって長野市のような中核都市でも、中層に代わって高層マンションが多く建てられるようになりました。  さて、高層マンションの盛況の影で、取り残された在来の中層集合住宅について、見逃すことのできない傾向が起こり始めています。それは、急激な中古価格の下落です。  特に名古屋市郊外の公団や公社の公的分譲団地で著しいのですが、大都市では多かれ少なかれ類似の現象が見られます。働き盛りの層の家族は都心に移り、後に収入の減った高齢者だけが残ります。高いといわれる住宅の値段が下がること自体は結構かもしれませんが、収入の少ない若年層も実はそこに住みたがらない事情があります。  住宅金融公庫の融資制度にも問題があり、新築は35年ローン、中古は築20年以内までが20年ローンとなっています。価格の高低でなく、月々の支払い能力が問題となる若年層は、築20年以上たったものは安くても融資が受けられないため、都心の高層マンションに住む方が好都合というわけです。結局、経済力の低い住民だけとなった郊外の中層住宅では、資産価値を保つための補修など維持管理に必要な経費を惜しむようになり、まだまだ快適 に住み続けられる住まいがどんどん劣化してスラム化してゆくのを止めることができません。郊外の良質な中、低層の団地の外部空間は自然と触れ合い、気温上昇を抑えるなど、地域社会にとっても大事なはずです。  個々の住まいも団地も地域社会もいろいろな階層、年齢層の人々が一緒に住んでこそ「人間的」なものになるのです。あと10年、20年すれば、高層マンションも補修・管理問題が必ず起こってきます。  金融公庫の問題だけでなく、これはわが国の長期的・根本的な住政策・都市計画の欠落によるものといえるでしょう。

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