設計士チェック

: これも購入者をだますテクニックとなることが今度の事件で明らかになったといえるでしょう。もっとも、この夫婦も、ただ漫然と現場に足を運んでいたのではないでしょうか。まず「意識」を持って見学し、その上で、経験のある建築士と同行すべきなのです。私は、マンション購入者のほとんどが③の類型に含まれるのではないかと考えています。住宅を手軽に短期間で入手したいと思う人がマンションを選択するからです。したがって、「なにもしないから悪い」とは言い切れないのではないでしょうか。マンションは工業製品の性格が強い商品といえます。完成品であることが前提条件で、それを疑うのはなかなか困難でしょう。例えば、パソコンや車を買う際に、「この商品には手抜きがあるかもしれないぞ」とは誰も思わないでしょう。とはいえ、素人には不可抗力なのだから購入者の責任は皆無だ、とまではいえないのではないでしょうか。その理由として、第一に、建築は生活の恒常的な基盤であることです。パソコンや車のように一時的に使用するものではありません。例えばそこで子供を育てることになれば、安全な場所を子供に提供する親の責任が発生するはずです。