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マネーゲームと化すバーチャル不動産

2018年12月18日「火曜日」更新の日記

2018-12-18の日記のIMAGE
ファンドバブルといわれた2006年から2008年の頃、私はあるREIT運用第会社の社長をやっていました。スポンサー会社は新興系で、当時は飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長をしていた不動産ファンド会社。自分たちが組成したプライベートファンドで次々と物件を仕入れてはREITに売却していくことで、大きな収益を上げていました。世の中はファンドバブルの真っ盛り。先行した外資系ファンド会社に負けじと激しい物件争奪戦が繰り広げられたのも、この時代でした。私も関係会社の役員としてこのスポンサー会社の投資ミーティングには任意で参加していたのですが、ミーティングははじめのうちこそきちんと物件の性能、賃料の査定、将来性あるいはリスクの評価が行なわれていましたが、あまり詳細にリスク評価をやると物件入札に勝てなくなる。そのうち、「勝てる」ためにはどのように数字をいじくれば、その数値に近づけるかといった本末転倒の議論になっていきました。彼らが購入した物件はやがて私のREITに売却される。その時はさらに利益がオンされてとんでもない価格になる。その時に本当にそんな価格で買えるのか。REITは上場され、個人も含めた投資家のお金で成り立っています。本当に投資家の納得を得られるような値段でREITは物件を取得することができるのか。それは単なるバーチャルの数字合わせをしただけではないのかと、当時は大いに悩みました。私自身もある銀座の一等地の物件入札では、REITの広告塔としてどうしても取得したいという気持ちのあまり、想定賃料をだいぶ引き上げて入札に臨んだこともありましたが、私たちのオファー価格を8%も上回る高値で落札されて驚愕したことがありました。結果としてはこの入札、勝ち取った外資系ファンド会社はその後この物件の処理に大いに困り、多額の損失を出したとのことでした。それではこの時、リアル不動産の動きはどうだったのでしょうか。銀座の賃貸価格は1階などの路面店の賃料はファンドバブル景気の影響もあってやや上昇気味でしたが、上層部のオフィス部分などはそれほど大きく値上がりするような状態にはなっていませんでした。外資系ファンドはおそらく、ビルのテナント全体に大幅な賃料の引き上げの交渉を行なったのでしょう。でもその行為はあくまでもバーチャルの中で想像していただけの数字。実態はリアルなテナントがそんな値上げ交渉に応じるわけもなく、利回りは想定を下回ったまま。そのうちにファンドバブルは終焉。宴は短い時間で終了したのでした。

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