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借主が明渡しを承諾したらどんな手を打つか②

2019年6月5日「水曜日」更新の日記

2019-06-05の日記のIMAGE
借主が納得して、家主に明け渡す決意をし、立退先も見当をつけた上で、家主に対して×月×日までに明け渡しましょう、と約束した場合には、このような約束は確実に有効です。このように明け渡すという約束があるからといっても、貸す際の特約が無効である以上、借主が本当に明け渡す気になって×月×日までに明け渡すという約束をしたというのであれば、明け渡してもらえますが、さもないかぎり(別に明渡しを求める正当の事由でもないかぎり)、明渡しを求められないことになるわけです。つぎに、契約の締結の際に、二年後に必ず明け渡させる手段を講ずることは不可能です。「平成何年何月何日までに必ず明け渡す」旨を公正証書にしてみたところで、公正証書には、そのような執行力はありませんから、借主が任意に出ていかないかぎりどうにもなりません。公正証書を作ったにしても、2年後に出ていってもらいたいときには、通常と同様、訴訟を起こして判決を得て強制執行しなければなりません。そして、そのためには家主にどうしても明け渡してもらわねばならぬ正当の事由がないと駄目で(借家法一条ノニ、借地借家法二八条)、契約のとき、何月何日までに、必ず出るという約束をしても、これは賃借入に不利な特約とみなされ効力がありません(借家法六条、借地借家法三〇条)。しかも、二年後には必ず出てもらわないと困るような場合は、借りるとき、必ず出るからというので貸してしまうと、途端に、家主の弱味につけ込み立退料をよこせば明け渡すなどと居直られるおそれもありますから、借主の信用を見ることが大切です。貸してしまった場合なら、仕方がありませんから、期限の来ないうちに和解か調停の申立てをし、何月何日までに明け渡す旨の約束を和解調書か、調停調書にしておくとよいでしょう。ただ、注意しなければならないことは、単に、二年後に明け渡すという合意書では不充分で、合意解除をしたこと、明渡しをする期日、家賃のかわりに遅延損害金を払うことなどを記載しておくことが大切です。和解調書や調停調書に書かれた条項は、公正証書と違って、どんなことにも執行力がありますから、期限がきて居座るようだったら、これに基づいて強制執行をして追い出すことができるのです。ですから、最終的にはこの手段を用いるのがよいと思います。

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