部屋探しは重要!快適な生活を送る方法!あたらしくらし

トップ > 元年6月> 10日

無断転貸した借家人に対し明渡しを請求したい

2019年6月10日「月曜日」更新の日記

2019-06-10の日記のIMAGE
私は東京に住んでいて、札幌に持っている家屋をある人の世話で一〇年前からAさんに貸してあります。東京で事業をやっているため、ときどきしか札幌に行く機会はなく、この間五年ぶりに行ってみるとAさんがそこに住んでおらず、Bさんという人がAさんから借りて住んでいることがわかりました。Bさんのいうのには、Aさんは三年前に室蘭の方へ行っており、Aさんの持家だと思っていたということです。明渡しを請求したいと思いますが、できますか。賃借人は賃貸人の承諾がなければ「その権利を譲渡し又は賃借物を転貸すること」ができません。また、賃借人がこれに反して第三者に「賃借物の使用又は収益を為さしめたるとき」は、貨貸人は、賃貸借契約を解除することができるのです(民法六一2条)。この場合の、賃借権の譲渡というのは、賃貸借契約上の賃借人の地位を第三者に移転することをいいます。賃貸人が賃借権の無断譲渡を理由として賃貸借契約を解除するためには、ご質問の場合でいえば、AさんとBさんとの間に、単に賃借権譲渡契約が結ばれているだけでなく、Bさんがそこに住んでその貨借物を使用していなければならないとされています。賃借物の転貸というのは、賃借人が賃借物について返還義務を課してこれを第三者に引き渡すことをいいます。家主が無断転貸を理由に、賃貸借契約を解除することができるためには、転借人が独立して賃借物を使用収益している状態が必要です。賃借権の無断譲渡、あるいは賃借物の無断転貸がなされた場合に、契約の解除について、どのような問題があるか判例の動向を簡単に述べておきますと、戦前では無断譲度、転貸の行為があれば、ただちに契約の解除原因になるとされ、解除は広く認められていました。戦後においても、しばらくはこの立場をとっていましたが、次第に変化が出てきて、昭和二八年に出た最高裁の判決は「賃貸人に無断で譲渡・転貸がなされても、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は賃貸借を解除できない」という理論を打ち出したのです。これは現在では民法六一二条の解除を制限する確立した判例となっていることに注意してください。裏を返せば、解除のためには「信頼関係を破る特段の事情」が必要だというわけです。では、判例のいっている「背信行為」とは、どういう意味、内容をもっているのでしょうか。これについては、学者の間でいろいろの議論が出されています。

このページの先頭へ