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立退料を払えば必ず明け渡してもらえるか②

2019年6月18日「火曜日」更新の日記

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ある事例を紹介します。賃貸人は、本件建物がすでに老朽化したので、これを取り壊して、その敷地と賃貸人の代表者が所有している隣接地とを一緒にして高層ビルを建築することを理由に、本件家屋で果物小売商を営んでいる賃借人に契約の更新拒絶をして訴を起こしたケースです。一審で三〇〇万円の立退料を支払うので明け渡して欲しいと、予備的主張を追加したのですが、一審は、この予備的主張を認めて、立退料三〇〇万円と引換えに家屋の明渡しを命じたのです。賃借人が控訴した結果、控訴審は、賃貸人は立退料として三〇〇万円を提供しているが、このような場合、とくに反対の意思がうかがわれない限り、賃貸人は、その主張する金額に必ずしもこだわることなく、一定の範囲内で裁判所にその決定を任せていると考えるべきだとし、本件の場合もその趣旨と考えられるとして、補強条件を満たすに足る立退料は五〇〇万円が相当として、五〇〇万円の支払いと引換えに、本件家屋の明渡しを命じたものです。賃借人は上告しましたが、上告審でもこの考え方が維持されました。質問には、二つの問題があります。一つは、あなたが多額の借金を返済するため本件家屋の明渡しを受けて、これを売却しなければならない事情は、いちおう正当の事由があるといってよいでしょう。問題は相手方が理髪業を営み、二〇年以上もこの家屋を賃借して生活してきた状態を併せ考えるとき、双方五分に近い関係にあるといえます。そこで、あなたが明渡しを求める正当事由の補強として二00万円の立退料を提供することは妥当です。第二には、二00万円の立退料が、裁判所で正当事由の補強条件として十分だと認められず、それ以上の額になる可能性もあるということを承知しておかなければなりません。理由は前に述べたとおりです。もちろん、あなたが裁判所に対して提供した金額以上はビター文出さないと意思表示した場合は、裁判所は、二〇〇万円の立退料の提供で十分だとするかどうかはわかりません。それは裁判所に一任することが得策です。立退料の提供の有無が、正当事由の判定に当たって重要な役割を果たしている事実は注目すべきことです。

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