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定期借地権の評価

2019年10月3日「木曜日」更新の日記

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その建物を空家の状態で買い取る場合には,次のようにして,その価格を求めればよい。買取建物の再調達原価(現在、その建物を建築したらいくらかかるか)を求め,建築時から現在までの減価(期間に応じた減価償却を行い,さらに具体的調査をし,雨漏りやエレベーター設備の陳腐化などによる特別の減価を加味して査定する)を差し引いた価格(秋算価格)を求める。秋算価格というのは,空家となった買取建物を自分で使用するか,あるいは新規に経済家賃で賃貸できる状態を前提とした価格である。しかし、その建物が賃貸建物である場合には,テナント付きのまま,かつ,従前の家賃その他の条件を引き継ぐこととなるので、鑑定評価基準でいう「貸家及びその敷地」の評価方法を準用して求めることとなる。すなわち,買い取ることとなる建物の現況の家賃から必要諸経費等を差し引くと、その建物が1年であげる純収益が求められる。この純収益は、建物とその敷地とが一緒になってかせいだものであるのだから,そのうちの土地のかせいだ分(土地の更地価格に期待利回りを乗じて求める)を差し引くと、その建物が1年間にかせぐ純収益が求められる。これを建物の還元利回りで還元すると,建物の価格(収益価格)が求められる。テナント付きで建物を買い取る場合には,この収益価格が基準となり,積算価格(これが上限価格となる)を参考としながら,鑑定評価額を決定することになる。(注)「場所的利益」を加味する立場に立つ場合には,強算価格では、「場所的利益」の額を単純に加算することになるが,収益価格では,「土地のかせいだ分」を査定するときに調整することになる。鑑定評価をする場合には,上記の方法によるわけであるが,しかし,借地期間満了時に,地主にも借地人にも納得できる「相当の対価」を具体的に決定しようとすると,両者の利害が相反するわけであるから,合意にはなかなか達しないことも予想される。この紛争を事前に防止するために、借地権の設定時に契約書で「相当の対価」の具体的算定法を定めておくのがよい。なお,ここで,建物は「無償で譲渡する」などと規定すると,この借地契約が建物譲渡特約付借地権としての要件を欠いているのではないかという問題が出てくるし、「買取価格はゼロ円とする」というのも、借地人に不利な条項として無効とされるおそれもある(借地借家法23条)。借地上に建築される建物の建築費を基にして,これを建築費指数などで調整して買取時の再調達原価を求め,これから減価償却費を控除した額とすると定めておくことなどは,もっともわかりやすい方法であろう。

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