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老人ホームは「余生」を生きる家ではない(2)

2020年3月16日「月曜日」更新の日記

2020-03-16の日記のIMAGE
高級マンションとほとんど変わりはないが、なぜ有料老人ホームにしたのか、いまひとつ私は理解できなくて、再度、どうして終いの住みかに有料老人ホームを選んだのか、突っこんで聞いた。「私はね、常々、生も死も自分の責任で終焉させたいという持論なの。まして、家族をもたないシングルだから、老後の設計はすでに三〇代から心の準備に取りかかり、経済的蓄積も計画的にしてきた。以前計画していたピーチハウスもそのひとつだったわけ。でも、人生は絵に描いた風景ではない。いままで描いてきたような計画に、予想もしない出来事が起き、夢破れてしまったいま、私にとって有料老人ホームこそ最良の住みかだと考えている。なぜならね、誰にも迷惑をかけたくない。そして、人生の幕引きも、ビジネスとしてクールに処理する方法がもっとも清潔でドライでいいと思えるから。身内を期待して褒切られたり、がっかりしたり、悲しんだりするのは疲れるから、ドライに自分のしたいように割りきることがいいと悟ったのよ。葬儀も、墓もいらない、再生を祝福してもらいたいのよ。私は老いてなお一生懸命生きる老人が好きなの。ここはそういう人たちで溢れている。自分もすでに老域に入っているというのに、その人たちの姿に母をダブらせ、山のようにやり残した悔いをお返ししたいのよ。-入居者はみんな同じ集合船に乗りあわせた運命共同体だから、いざというとき、お互いに手を差しのべられることは素晴らしホームに引っ越した移転の挨拶文に、これからの暮らしはゆるやかに、やさしく生きたい。と書き添えたのは、自分がやさしくならなければ、人にもやさしい気持ちがもてないから.......。自分が自分に美しいリボンをかけた贈り物をして、余生、余生といっているような人たちに、余生ですって、笑っちゃうよ、という姿勢で生きたい」こう話して稲葉さんはふっと大きく息を吐いた。

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