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居間「好きな自分」になれる部屋

2020年3月30日「月曜日」更新の日記

2020-03-30の日記のIMAGE
以前、空間には男の空間と女の空間があった。西洋では、男の空間は「書斎」、女の空間は「プドワール(婦人室)」であった。日本でいうとさしずめ、「表座敷」が男の空間、「台所」が女の空間ということになろうか。その男と女の空間の中間に、共用のというか、両性のというか、男、女、ではない社会的結びつきである家族の「茶の間」が成立していた。「茶の間」は朝昼晩の食事をする空間であり、家族が寄りあう空間で、いまでいう「リビング」的空間に近い。けれども「茶の間」に他者が混じることは近親者でもなければまずなく、他者は明らかに「褒」あるいは「奥」には入らず、「表」の座敷や応接間で対応されてきた。身内イコール「内・・奥」、他者イコール「外・表」、という社会的決まりごとが、そのまま空間の決まりごとになっていたわけである。戦後からこちら、住宅のあり方は、人のあり方、考え方、ことに女性の地位の向上によって大きく変わってきた。それまでの日本の住宅は、廊下をはさんで「南・表」に座敷や応接間など主人イコール夫を主役にした接客空間と、「北・裏」に台所や女中部屋など、妻や召し使いなど主人に従属する立場にある「女性の空間」があった。そして男女同権、万民平等などの主義の変化によって、そのような空間のあり方まで大きく変わってきたのである。座敷や応接間など接客を主とする空間は、首都圏の人口の増加、地価の高騰などと相まって、外=マチ、すなわちホテルのロビーやレストラン等ですまされることになり、住宅は「自分たちだけのもの」、いいかえれば「表」がなくなり「裏=内=奥」だけで成立することになった。茶の間でもなく座敷でもなく、多分に住む人の個性を尊重する「居間」というものが、「リビング」としてこの新しい世紀の新しい空間として定着してきた。・リビングはだから、ある家では昔の「応接間、座敷的」であり、またある家では「茶の間的」であり「食堂的」「台所的」である、というふうにその性格や機能があいまいなまま現在に至っている。あえていえば、夫や妻の、子供や孫の、あるいは親しい友人知人たちの、いわば「身内感覚」で交流しあえる「場」ということになろう。夫、妻、子供たちという核家族を構成している年月は、人生の歴史の中でも長い。そ*の間のリビングは、やはり「皆の空間」で、誰か一人の、夫や妻や息子や娘の、個人的な色彩一色になってしまっては、他のメンバーの居心地が悪い。個人個人の主張が内に抑えられ一歩引いた、いわば昔ならその家の「家風」的雰囲気にならざるを得ない。個個の主張はどうぞ個々の部屋で、ということになる。さて、息子も娘も育った。

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